アルゼンチン・ペソ、国債、株が暴落!暴落の理由は?今後の世界経済への影響は?

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12日の金融市場でアルゼンチンのペソ、国債、株価の暴落が起きました。ペソについては先週末比で一時25%安。アルゼンチン株の株価指数であるメルバル指数に至っては先週末比で37.9%安という大きな下落となりました。

今回の大暴落について原因やその影響について調べました。

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暴落はなぜ起きたのか?

今回の大暴落は11日に行われたアルゼンチンの大統領選の予備選挙がきっかけで起こりました。

予備選挙では野党候補のアルベルト・フェルナンデス 氏が現職の マウリシオ・マクリ 氏 に大差で勝利し、このことが投資家がアルゼンチン経済の今後を不安視する要因となり、アルゼンチン関連資産が全面的に売られたようです。

では、なぜフェルナンデス氏がマクリ氏に勝利したことが投資家にとって問題なのでしょう?

マウリシオ・マクリ 氏 とは?

Presidente Macri en el Sillon de Rivadavia (cropped)

参照:Wikipedia

現職のマクリ氏は2015年の大統領選でアルゼンチンの大統領となった人物です。

アルゼンチンはそれまで長らく保護主義的な貿易や貧困層を対象にしたバラマキ的な政策が行われていたため、財政は赤字体質で度々問題視されていました。

マクリ氏は就任後、各種補助金の削減等の財政規律を重視した政策を行うとともに、保護主義的な貿易から自由主義貿易への転換(輸出税などの撤廃)、為替規制の撤廃などを行い、投資家から一定の評価を受けていました。

またアルゼンチンは財政危機により慢性的にデフォルト(債務不履行)も危ぶまれているのですが、マクリ氏が国際通貨基金(IMF)と良好な関係を築いており、IMFからの融資も取りつけている点も投資家からのプラス材料となっているようです。

アルベルト・フェルナンデス氏とは?

Candidato presidencial Alberto Fernández

参照:Wikipedia

今回の大統領選挙で出馬している野党候補で、2003年から2008年までChief of the Cabinet of Ministersという閣僚のトップを務めていました。

ほかのニュース記事などではこのフェルナンデス氏を元首相という肩書で伝えています。 少し紛らわしいですが、Chief of the Cabinet of Ministersが首相という肩書のようです。日本では馴染みがないですが、首相は大統領とは別の役職で フランス、ロシア、韓国なども大統領と首相が両立しているようです。

財政規律を重んじるマクリ氏とは対照的に、 年金の増額や中小企業向けの補助などの大衆迎合の強い政策を打ち出しています。

予備選挙の結果が与えた影響

アルゼンチンは過去8回もデフォルトを起こしており、お世辞にも財政が安定しているとは言えません。

その理由として、マクリ氏以前の政権ではバラマキ政策が横行し、財政をひっ迫させていたことがあげられます。

マクリ氏が大統領になって以降、なお財政は厳しい状況ではありましたが、財政構造の見直しやIMFの融資などもあり、デフォルトの事態は避けられてきました。

そんな折の今回の予備選における結果です。投資家からすれば、以前のバラマキ政策に逆戻りしてしまう可能性、もっと踏み込んでいえばデフォルトがまた起こる可能性が危惧される結果とみなされたようです。

今後の世界経済への影響は?

アルゼンチンのGDPは2018年において全世界で25位。株式市場の規模もそこまで大きくなく、2019年に MSCI新興市場指数 にアルゼンチン株も組み入れられましたが、その割合も全体の0.26%程度です。また今回の暴落の原因についてもアルゼンチン固有の問題に起因する部分が大きいですので、その影響も限定的と思われます

とはいえ実際の世界経済への影響は不透明で、これを機に新興国から資産が流出する可能性も否定はできませんので、今後も注視が必要です。

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