Apple独自のSoC(Sytem on Chip)であるM1チップを搭載したMac製品がついに発売されますね。
高性能なチップという触れ込みですが、新しいチップということもありトラブルも予想されます。
この記事では、現時点(2020/11/17時点)で判明している、M1チップ搭載Macの制限事項等についてまとめていきます。
Thunderbolt3/USB 4ポートが2つのみ

新しいM1チップ搭載MacではThunderbolt 3のポートは2つしかついていません。
M1チップ搭載マシン販売後も販売が継続されるIntelチップ搭載のマシンで13インチMacBook Proの場合、Thunderbolt 3のポートは4つのため、単純にポートが2つ減ったことになります。
Thunderbolt 3のポートは充電にも使用します。
そのためポートを一つ充電に使うと自由に使えるポートは残り一つしかありません。
複数外部ディスプレイによる拡張ディスプレイ表示に対応していない

CalDigitというサイトにM1チップ搭載Macの外部ディスプレイの対応状況について記載がありますが、
M1チップ搭載のMacBook Air, MacBook Proでは拡張表示できる外部ディスプレイの数が1台に制限されています。
Intelチップ搭載Macでは4Kディスプレイまでであれば2台まで外付けディスプレイで拡張表示できていました。
これまでMacBookの内臓ディスプレイ+外付けディスプレイ2台でトリプルディスプレイ環境にしていた方には少し不便かもしれません。
なお、M1チップ搭載のMac miniについてはThunderbolt経由で1台、HDMIポート経由で1台の計2台の外付けディスプレイ表示が可能です。
メモリが最大16GBまで

M1チップ搭載Macでは選択できるメモリは最大で16GBまでです。
- MacBook Air : デフォルト8GB (オプションで16GB)
- MacBook Pro : デフォルト8GB (オプションで16GB)
- Mac mini : デフォルト8GB (オプションで16GB)
Intelチップ搭載Macの場合はオプションで32GBのメモリを選択できていました。
ウェブブラウジングや事務作業くらいであれば16GBで困ることはありませんが、
- 重めのゲームをプレイする
- 動画編集を日常的に行う
- 3D CADなど複雑な3Dモデルを頻繁に扱う
といった場合、メモリ最大16GBでは少し物足りないかもしれません。
Javaがまだネイティブに対応していない(2020/11/17時点)

Javaを動かすためのJVM(Java仮想マシン)がまだM1チップに対応していないようです。
Azulという企業がJavaのM1チップでのネイティブサポートを行うことを表明しており、

JavaをM1チップ上でネイティブに動かしたい場合は、その対応を待つ必要がありそうです。
なお、Intelチップ搭載Mac用のソフトウェアをM1チップ搭載Macで動かすRosetta 2というソフトウェアがあります。
ネイティブにはJavaは動かせませんが、Rosetta 2を通すことでJava自体はM1チップ搭載Macでも動かすことが可能です。
ただし、Rosetta 2を経由することで、本来のパフォーマンスが出なかったり、正常に動作しない機能がある可能性はあり、注意が必要です。
Dockerが動かない (2020/11/17時点)

プログラミングやシステム構築でよく使われるようになっているコンテナ技術であるDockerが、まだM1チップに対応していないようです。
M1チップ自体は仮想化に対応しているそうなので、Docker側が対応してくれるのを待つ必要があります。
DockerのgithubにM1チップ対応がすでにissueとして上がっており、現在対応中のようです。
環境構築をDockerを使って行っている方は、M1チップ搭載Macの購入は少し待ったほうがよさそうです。
Photoshopが正式にサポートされていない(2020/11/17時点)

Adobeの公式サイトによるとPhotoshopはM1チップに対して正式に対応していません。
Native compatibility is planned for 2021. Adobe is committed to ensuring Photoshop is available on all major platforms and surfaces, including running natively on Apple devices with M1 processors.
https://helpx.adobe.com/photoshop/kb/photoshop-and-macos-big-sur.html#AppleSiliconcompatibility
(訳)ネイティブな互換性対応は2021年に予定しています。M1プロセッサー搭載のAppleデバイスでネイティブに動作させることを含め、AdobeはPhotoshopをすべての主要なプラットフォームや環境で動作させられるよう尽力しています。
なお、Rosetta 2を使用することでPhotoshopはM1チップのMacでも動かすことは可能です。
ただし、AdobeはRosetta 2を介してのPhotoshopの動作は公式にサポートしておらず、現時点(2020/11/17時点)で以下のような問題が確認されているとのことです。
- Rawファイル読み込み時にCamera Rawがロードされない
- [Export As]か[Generator]を使用してエクスポートする場合に、いくつかのフォーマット(SVG, GIF)でエクスポートができない
Flame、Picture Frame、Tree などのフィルタを使用している場合、プレビューやコミット後にマゼンタ色のアーティファクトが出てしまうことがある
(2020/11/20追記)
AdobeがM1チップ対応のPhotoshopのベータ版をリリースしました。まだ使えない機能も一部あるようですが、これでPhotoshopもネイティブで動かせるようになりそうです。
Lightroomが正式にサポートされていない(2020/11/17時点)
Photoshop同様AdobeのLightroomも正式にM1チップへの対応がされていません。
Rosetta2を使えば動作するようですが、こちらもPhotoshop同様、Rosetta2を介しての動作はAdobeの公式サポートの対象外になっています。
まとめ
M1チップは新しいチップということもあり、まだソフト側の対応が進んでいないという印象です。
特に開発系で必要なソフト(Dockerなど)が動かないのは大きいので、プログラマの方などはもう少しソフト側の対応を待った方がよさそうです。
写真が趣味の方などPhotoshopやLightroomをお使いの方はRosetta 2を使えばソフト自体は動きますが、トラブルも報告されているので、ソフトのネイティブ対応を待ったほうが無難かもしれません。
ソフト自体の対応は時間が解決してくれますが、Thunderbolt 3ポートが2つまで、拡張ディスプレイが1台のみ、メモリが最大16GBまでといったハードの制限は現状どうしようもありません。
MacBookなど、カジュアルに使う分には問題なさそうですが、自宅でゲーミングPCとして使う、仕事でハードに使うといった場合は少し制限が多いかもしれません。
なお、この記事では購入時の注意点に着目したので、色々とマイナスのポイントばかり記載していますのでご留意ください。
M1チップのベンチマークだけを見れば優秀なチップのようなので、私自身はかなり期待はしています。
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