Yahooの親会社であるZホールディングスとLINEの経営統合が発表されました。
統合により総ユーザー1億人を超える、サービスプロバイダーの誕生ということで、各所で大きな話題になっています。
ただ、ZホールディングスもLINEも事業規模が大きいため、お互い競合する事業もあり、それらが統合されていくのか気になる方も多いのではないでしょうか?
今回は金融系のサービスに焦点を絞って、ZホールディングスとLINEの金融系サービスをまとめ、今後どうなるか予想していきたいと思います。
Zホールディングスの組織と事業
まずは金融系でZホールディングスとLINEがどういった事業をしているか見ていきましょう。
以下はZホールディングスとその子会社の表した図です(本当はもっと多くの子会社がありますが、ここでは金融系で関係する会社のみ抽出しました)。

各会社について事業などの概要を説明します。
ソフトバンクとソフトバンクグループの子会社です。元々Yahoo!JAPANだったものが事業再編により社名がZホールディングスになりました。
子会社に従来のネット関連事業を担うヤフー株式会社と金融系の業務を担うZフィナンシャル株式会社があります。
その他、ホテルなどの予約を行う一休.comや、オフィス用品を扱うASKUL、最近買収うされたZOZOもZホールディングスの傘下に入っています。
旧Yahoo!JAPANで行っていた業務のうち主にインターネット関連事業を担当する会社です。
傘下に電子決済事業を手掛けるPayPayとFXと証券事業を手掛けるYJFX、ヤフーのクレジットカードを発行しているワイジェイカードなどがあります。
電子決済事業のPayPayを展開する会社です。
メインはFX事業ですが、一部証券事業を手掛けています。
証券事業では投資信託を扱っており、株式の個別銘柄の取り扱いはありません。
ヤフーの100%子会社です。
クレジットカード事業を手掛けており、ヤフーのクレジットカードであるYahoo!JAPANカードを発行しています。
旧Yahoo!JAPANが行っていた業務のうち、主に金融系の業務を手掛けます。
傘下にジャパンネット銀行があります。
Zフィナンシャルの子会社ですが、三井住友銀行の持ち株会社でもあり、三井住友銀行も同数の株式を保有しています。(2019/11/19現在)
銀行業務を行っており、投資信託やFX, ローン事業も手掛けています。
LINEの事業
続いてLINEの事業についてみていきましょう。
LINEも子会社に分けて事業展開していますが、簡単のためここは事業ごとに分けてご紹介します。

LINEの中核事業のメッセージサービスです。
LINEが提供する電子決済サービスで、QRバーコードによる決済手段を提供しています。
チャージ方法として銀行口座からのチャージ、LINEポイントからのチャージ、QRコードからのチャージ、LINE Payカードからのチャージが容易されています。
ユーザーにうれしい点として、個人間送金が可能であったり、出金が可能であるという点があります。
LINE Payに関連しますが、LINEが独自に算出している信用スコアです。
LINE Payの支払いなどでLINEスコアに応じた還元を受けることができます。
みずほ銀行との共同出資で2020年の設立を目指して準備している新銀行です。
準備会社はLINE bank設立準備株式会社という名称で2019年5月に設立されたばかりです。
野村証券と共同出資で作ったLINE証券株式会社が行っている証券事業です。
株の個別銘柄とETF(上場投資信託)を取り扱っており、LINEアプリから株などを簡単に購入可能です。
個別株は1株から購入可能なので、株初心者でもとっつきやすいのが特徴です。
競合する事業
電子決済
ユーザー規模から考えて事業統合により最も影響が大きいのはここでしょう。
電子決済サービスのLINE PayとPayPayが競合しています。
事業統合するうえで、このLINE PayとPayPayを統合するかという問題がありますが、現時点では具体的な対応は決まっていないようです。
ただ、別々の決済手法を用意していてもユーザーにメリットはないので将来的には統合されるのではないでしょうか?
信用スコア
LINEもYahooも独自の信用スコア事業を行っています。
LINEはLINEスコアを算出し、LINE Payでの支払いでLINEスコアに応じた還元率でポイント還元を行っています。
ヤフーも独自の信用スコアを使い、関連サービスの特典を信用スコアに応じて受けられるようにしています。(例えば、シェアリングサービスでは信用スコアが高いほど審査を簡易化するなど)
どちらもスコアの算出は独自のアルゴリズムで行っていますが、これらのスコアを統合することでより信用スコアの精度を上げることにもつながり、メリットもありますので今後統合される可能性があるかと思います。
銀行業
LINEに関してはまだ新銀行設立の準備段階ですが、LINEもYahoo(正確にはジャパンネット銀行)も共に他の銀行と共同で事業を進めています。
LINE銀行はみずほ銀行との共同出資、ジャパンネット銀行は三井住友銀行が持ち株会社です。
どちらもライバル同士の銀行と協業していることから統合には困難が予想されます。
またLINE銀行についてはまだ準備段階とはいえ、最近、銀行システムの発注を富士通に発注するというニュースも流れており、ここからLINE銀行の創設を取りやめてジャパンネット銀行と統合するのはかなり難しいのではないでしょうか。

証券業
YahooはYJFXでFXと一部投資信託を取り扱っているの対し、LINEは野村證券と共同で株やETFを取り扱っています。
ただYJFXの投資信託は数も少なく、他と協業しているわけでもないため、LINE側と統合するのはそこまで困難ではないのではと思います。
また、統合せずともYJFXはFX事業、LINE証券は証券事業と棲み分ければ、そのままでも特に問題なさそうではあります。
まとめ
Yahooの親会社であるZホールディングスとLINEの経営統合ということで、事業が統合される可能性がある金融系のサービスについてまとめました。
LINE PayやPayPayあたりは将来的に統合の可能性もありそうですが、銀行業については他社と協業していることもあり、今後統合されるかはかなり不透明な状況と言えそうです。
コメント